人が住まない住宅には、様々な問題が発生します。

人間が生活していないだけで不動産は劣化が激しくなりますし、人がいないことで害虫の被害に悩まされることもあります。

また、空き家だとわかると犯罪に巻き込まれることもありますし、その住宅に残る家財の処分も考えどころです。

それぞれの問題を全て業者にお願いしてしまうという方法もありますが、できるところは自分でやったほうが良いですし無駄なコストを省くことができます。

空き家を放置することで様々な問題が起こりますが、その中でも特に重要な

  • 老朽化の防止
  • 犯罪の防止
  • 家財処分の方法
  • 害虫対策

について紹介させていただきます。

空き家の老朽化とリフォーム

空き家を管理する最大のメリットの1つとして、住宅の老朽化の防止が挙げられます。

人がいない住宅は人が生活をする住宅と比べると、極端に劣化が進みやすいです。

老朽化した住宅は利用価値もなくなりますし、不動産としての価値も減少するため売却時に苦労する羽目になります。

せっかくの資産なのですから、できるだけその空き家をきれいに保つべきなのです。

それでは、老朽化を防ぐには何をすればよいのでしょうか?

空き家のメンテナンス

例えばいつも住んでいる住宅で雨漏りが発生した場合、すぐにその異変に気付くのではないかと思います。

しかし、人がいない空き家の場合はそういった変化に迅速に対応することができません。

そのため、住宅にそのような不具合が生じないようにメンテナンスをしたほうが良いのです。

「空き家は誰もいないから大丈夫だ」と考えるのではなく、空き家だからこそちゃんとしたケアをするべきです。

具体的には、定期的に空き家を訪れてどこかおかしい部分がないのかチェックします。

室内に水の跡があれば雨漏りしている可能性が高いですし、他にも壁のひび割れやフローリングの剥がれなど、目に見える部分はきちんと確認しましょう。

必要に応じた修理

室内を点検したうえで、必要だと思った所は積極的に修理したほうが良いです。

例えば、長年放置された空き家は外壁もボロボロになりますので、外壁塗装を業者にお願いした方がいいでしょう。

外壁は風雨から室内を守る役割を果たしますが、劣化すると壁の内部に水分がしみ込んで構造部分を台無しにしてしまう恐れがあるからです。

同様に、瓦屋根の場合は老朽化して飛ばされ他人を怪我させてしまう恐れもあるため、長期間その家を空けるのであれば、点検し必要に応じて修理しなければなりません。

空き家の防犯対策

人が住んでいない住宅ということが不審者や犯罪者にわかってしまうと、その空き家が様々な犯罪のリスクに侵されます。

どれだけ気を付けていても犯罪に巻き込まれる可能性はありますが、空き家とわかってしまうだけで犯罪の可能性が高まってしまうのです。

空き家放置で発生しがちな犯罪とは?

空き家だったがために発生してしまう犯罪は数多くあります。

空き家に対する不法侵入や空き巣は考えられる犯罪の1つですが、中には空き家を利用して麻薬を作ったり死体遺棄をしたりといった、恐ろしい事件も起きています。

また、無人の住宅は放火の対象にもされやすく、火が隣に移って大惨事になることも考えられます。

これらは空き家を所有している限り、全くの他人事ではなく自分の身にも降りかかってくる可能性があるのです。

犯罪に巻き込まれないための対策

どうしても空き家になってしまうというのであれば、できるだけ空き家だとわからないような対策を打つことがおすすめです。

建物の老朽化を防ぐために室内をきれいにしたりするのは大切ですが、同様に外部もきれいに保つようにしましょう。

例えば門の破損、窓ガラスの割れなどは、基本的に人が住んでいる不動産にはあり得ないことです。

「ちょっと窓が割れているだけだから放置しておいても大丈夫だ、」という甘い考えは大きな犯罪を引き起こしかねません。

後回しにしてしまいがちな空き家の修繕ですが、犯罪者にスキを見せないためにも気づいたら早めに行動するようにしてください

空き家の家財問題について

空き家を管理する際には、その建物に残っている家財道具を把握しておかなければなりません。

将来的にそこに住むことがわかっているのであればそのままでも良いかもしれませんが、人に貸したり売りに出したりすることがあるかもしれません。

せっかく賃貸や売買のチャンスが訪れたのに、家財を置きっぱなし、散らかしっぱなしではタイミングを活かすことができないので、それに備えて家財を整理しておくのがベターです。

しかし、いきなり処分と言われてもどのようにすれば良いのかわからないという方も多いはずです。

ここでは、家財処分の主な方法について紹介していきます。

オークションサイトの利用

家財を処理する方法で最も良いのが、オークションに出品して買い取ってもらうというものではないでしょうか。

状態の良いものであれば高く買い取ってもらえる可能性もありますし、何より思い入れのある家財をその後も大切に使ってもらえるというのはうれしいものです。

もちろんほとんどのアイテムは安価で取引されることになるかと思いますが、粗大ごみとして処分して余分にお金を払うよりはよっぽど経済的です。

オークションサイトへの登録や出品アイテムの撮影などが手間だという方は、フリーマーケットで直接販売するのも方法の1つです。

粗大ごみとして出す

大きな家財などは、粗大ごみとして捨てるのもよいかと思います。

オークションの利用と比べると逆にお金がかかってしまう方法ですが、確実に家財を処分することができます。

特に普段から粗大ごみを利用するという方は、勝手がわかっているためやりやすいはずです。

しかし、地域によって回収日などが異なるため、空き家のある地域の自治体が指定する粗大ごみ回収日を把握しておいてください。

不用品回収業者の利用

現代は物を捨てるのにもお金がかかりますし、粗大ごみは指定された日に指定された場所にもっていかなければなりません。

どうせ捨てるしお金もかかるし、と思われる場合は不用品回収業者の利用も考えてみてください。

不用品回収業者であれば、事前に電話で連絡するだけで自宅まで不用品を引き取りに来てくれます。

処分したいアイテムが多い場合や、大きくて指定の場所まで運ぶのが手間だという場合は、一度連絡してみてはいかがでしょうか。

ただし、トラブルを避けるため、事前に引き取ってもらう家財の大きさなどは伝えておくことをおすすめします。

空き家にも出る害虫の対策

人が生活している物件だから害虫が集まってくると考える方もいらっしゃいますが、空き家でも害虫は繁殖します。

害虫によっては近隣の住民にも大きな被害をもたらすため、未然に発生を防ぐのが一般的です。

害虫が引き起こす主な被害について

代表的な害虫として挙げられるのが

  • ゴキブリ
  • シロアリ
  • ネズミ
  • ハチ

などになります。

視界に入るだけで気分が悪くなるという方もいらっしゃいますが、それだけではなく衛生面にも大きな影響を及ぼします。

空き家となっている住宅だけではなく、周りの住宅をぼろぼろにしてしまう可能性もありますし、近所の人を噛んだり刺したり、といった被害をもたらすこともあります。

ご自身の所有する不動産になるため、自分は住んでいないから関係ない、というわけにはいきません。

空き家に害虫が発生する原因

人間が住む住宅では、食料や残飯、食べかすなどを求めて害虫が集まることになります。

また、人間から発生する髪の毛や皮膚、脂なども特定の害虫のエサとなり得ます。

掃除を徹底していれば害虫の発生や繁殖を防ぐことが可能ですが、人が住んでいても不潔にしていると害虫は集まります。

一方で、無人の不動産にはそのような害虫のエサとなりそうな物質がないような感じもします。

しかし、人間が生活をしたことのある住宅から害虫のエサとなるものをすべて取り除くのは難しいです。

また、生ごみが不法投棄された場合は当然のように害虫が集まってしまいます。

さらに害虫の天敵となる人間が存在しないため、空き家は繁殖にはもってこいの場所ということになってしまうのです。

害虫を寄せ付けない空き家の管理

害虫を100%なくす、というのは難しいことかもしれません。

しかし、定期的に換気をしたり室内を掃除したりすることで、害虫の繁殖を減らすことができます。

また、庭に生えた雑草を取り除いたりするだけでも、害虫が発生しにくくなるはずです。

害虫がすでに発生している場合は、バルサン等の燻煙剤を利用して一気に駆除してしまうとよいでしょう。

もしくは、害虫駆除の専門業者に依頼してきれいにしてもらうのもよいでしょう。

自分でできる空き家の管理

空き家を自分で管理すると言っても、具体的に何をどうすればよいのかがわからないという方も多いはずです。

大掛かりな住宅の修繕や空き家のセキュリティー対策などの面で、専門の業者に頼らざるを得ない場面も出てくるでしょう。

しかし、ある程度は自分自身で空き家の管理ができるものなのです。

無人の家屋の掃除

空き家を放置をするにより、様々なトラブルを引き起こすということが理解いただけたのではないかと思います。

しかし定期的に掃除をすることで、そのようなトラブルを予防することができます。

室内の清掃

室内の清掃は、建物自体の老朽化や害虫の発生、繁殖を押さえます

通気性が悪くなることで増えるカビを予防するため、カビによる建物の構造部分への被害を食い止められます。

また、定期的に人間の手で室内をきれいにすることにより、害虫の発生を防ぐことができるのです。

同時に、悪くなっている部分を早めに発見できるため、後々大掛かりなリフォームをする手間や費用も省けます。

建物外部の清掃

犯罪を未然に防ぐためには、空き家の外側部分をきれいに保ち続ける必要があります。

頻繁に訪れることができないという方も多いかもしれませんが、できるだけ建物が無人だということを知られないようにすることが大切です。

雑草の手入れやポストの確認はもちろん、破損している部分をすぐに取り換えるなどしてください。

また、長期間空き家になる場合は、定期的に外壁塗装などを行い外部の刺激から建物を守るようにしましょう。

近所の方へのあいさつ

可能であれば、隣人や周囲の方々への挨拶をするのもよいかと思います。

一軒一軒チャイムを押して挨拶をするというのは少し行き過ぎているかもしれませんが、偶然見かけたら少し話をするなどすると空き家周辺の近所づきあいもうまくいくはずです。

その際に、空き家であるがために何か迷惑をかけていないかなどを確認すると印象もよくなります。

空き家を所有しているのであれば、その周囲の人々との関係も良好であるに越したことがありません

有事の際に備えて、こちらの連絡先を教えておくのもよいでしょう。

最後に

いきなり空き家を所有することになったという方もいらっしゃると思いますので「空き家管理と言っても何をすればいいのかわからなかった」という方も少なくなかったはずです。

しかし、空き家管理の最低限のポイントを押さえてしまえば、急に困ったことになるというような事態も避けられます。

空き家は放置し続けることによって、様々な重大な問題を発生させます。

反対にきちんと管理できているのであれば、これといったトラブルには巻き込まれないといえるでしょう。

無人の不動産を安心して所有し続けるためにも、上手に管理していきましょう。