全国的に増加して問題となっている空き家ですが、中には何とか売却しようと考えている方もいらっしゃるのではないかと思います。

空き家は今後も増えることが予想されるため、売却しようと思っているのであれば、できるだけ早めに行動に移した方が高く売れる可能性は上がります。

空き家が増えたとしても買い手が比例して増えるわけではなく、空き家の供給のみが増加することになるからです。

ここでは、空き家となった不動産をうまく売却するコツを紹介しています。

また、売却だけではなく空き家を活用する方法も記載させていただきますので、売ってしまう前の参考になればと思います。

空き家が売れない原因と対策について

空き家にも様々なタイプがありますし、中には売りに出したらすぐに売れてしまうような空き家も存在します。

しかし、多くの空き家の所有者は自分の空き家は全く売れないと悩んでいる方が多いのが現状です。

それでは、なぜご自身の空き家は全く売り手がつかないのでしょうか?

様々な理由が考えられますが、大きく

  • その不動産自体に問題がある
  • 価格に問題がある
  • 不動産会社に問題がある

この3点が挙げられます。

では、実際にそれぞれの問題とその問題を解決する方法をここでは紹介していきます。

不動産自体の問題

同じ空き家であったとしても、築1年のものと築20年のものであれば、前者に興味を持つ方が多いと思います。

もちろん価格も考慮すると後者を選ぶ人がいてもおかしくはありませんが、普通に考えて新しい方が綺麗ですし綺麗な物件の方が選ばれやすいです。

そして、長く放置された空き家ほど、ボロボロになっていて欲しいと思えないような状態であることが多いです。

見た目の印象は購買意欲に大きく関係するため、できるのであればその空き家をきれいにした状態で売りに出したほうが良いでしょう。

空き家をきれいにする方法

古い家ほど、すべてを美しくするというのは難しいことなのかもしれません。

しかし、要所要所のポイントを押さえてそこを重点的に綺麗にすることができれば、その家全体の印象も変わってくるはずです。

特に水回りの汚れや台所の油汚れなどがある場合は、それをしっかりと取り除いて清潔にすることでより綺麗に見えます。

それにカビなどを除去するだけではなく、できれば蛇口やシンクなどの光沢を出す処置を施すと、それだけで見た目の印象が大きく変わります。

もちろん自分で清掃することも可能ですが、専門の業者に特殊な掃除をしてもらうと、空き家を楽に綺麗に見せることが可能です。

リフォームの必要性

その空き家がボロボロすぎて誰も買わないだろうと感じ、売却前のリフォームを考える方もいらっしゃいます。

外壁塗装のような簡単なものもありますし、内装を変えてしまうような大掛かりなものまで様々ですが、リフォームによっては多額の費用がかかります。

最終的にその空き家を販売するのが目的なのに、リフォーム費用が高くなると売却価格を上げざるを得なくなり、結局高すぎて買い手がつかなくなってしまう可能性も出てきます

また、そもそも空き家を安く購入して自分なりにリフォームしたい、という買い手も多いため、先にリフォームしてしまうとそういった購買層を取りこぼすリスクにもつながります。

ケースバイケースですが、リフォームをした分価格をあげるよりは、価格を下げて売却したほうが買い手がつきやすいといえるのかもしれません。

価格の問題

空き家のみならず、誰もが何かを購入する際に価格を第一に考えます。

ましてや不動産は高額な商品になりますし、一生に一度の買い物という方も少なくないため、慎重に吟味する方が多くなります。

また、限度額をあらかじめ決めて購入に臨む人もいるため、そもそもその限度額以上の額を提示しいていては買い手がつきません。

価格を下げて売却する

価格が問題で売却できないのであれば、最終的には提示額を下げて売りに出さざるを得ません

しばらく様子を見て、価格が原因で売り手がつかないと判断できるのであれば、値下げも考慮に入れる必要が出てきます。

しかし、中には価格を下げたとしても同じように売れない空き家も存在します。

値下げしても売れない場合は他に原因があるかもしれませんので、ここで挙げている他の原因を考えてみてください。

また、できれば価格は下げたくないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

明らかに価格が原因で売れないのであれば、価格は早めに下げたほうがいいといえます。

値下げに抵抗がある方へ

例えば、空き家売却で1000万円が手に入ると思っていたのに、800万円まで値下げしなければならないとなった場合、損した気持ちになるのではないかと思います。

しかし、今年は1000万円の価値がある物件であっても、来年は1000万円の価値がなくなります。

空き家は老朽化が激しいですし、マメに手入れしていたとしても築年数は増える一方ですので結局売却価格は安くなっていくのです

将来的にその空き家の近くが発展して価値が上がる可能性があるというのであれば話は別ですが、基本的に空き家の価値は下がり続けます。

さらに、1000万円から800万円に落としたとしても、その地域の市場価値がそれ以上に下がっていれば、その物件はもはや800万円でも売りにくくなってしまうのです。

もちろん特殊なケースもありますが、所有するだけで固定資産税を支払わなければならない空き家ですので、多少値下げしてでも売れるうちに売っておくのが賢い選択といえるのかもしれません。

不動産会社の問題

空き家の売却がなかなか進まない原因が、不動産会社にあることもあります。

特に、物件もきれいに保たれているし価格も高くないが売れないというようなケースは、不動産会社が関係している可能性が高くなります。

不動産会社を選ぶ基本

まずは、その会社が空き家の売却を得意にしていること前提になってきます。

不動産会社と言っても、マンションやアパートの賃貸仲介を得意にするところもあれば、中古マンションの販売に力を入れているところもあります。

その中で、空き家をはじめとする一戸建ての売買を中心に取り扱っているところを選びましょう。

それだけでも、数ある不動産会社の中から数社に絞り込むことができるはずです。

絞り込んだところで一括査定をしたり担当者に実際に会って色んな質問をしてみたりして、信頼できそうなところを見つけるのが基本です。

既にどこかの不動産にお願いしており結果が出ていないのであれば、他の会社を検討するのもよいでしょう。

会社の規模は一長一短

やはり「大手のほうがしっかりしていて安心できる」と思われる方も多いと思います。

確かに会社が大きければそれだけ実績もあるでしょうし、見込み客の数も中小企業と比べると多いといえます。

そういった背景から、中小企業と比べると大手のほうが購入希望者を早く見つけてくれると期待できそうです。

しかし、販売地域に絞ってみてみると、ひょっとしたらその空き家のある地域で最も業績を上げているのは地元の小さな不動産会社かもしれません。

また、大手の場合は数ある物件の1つとしてしか紹介されませんが、中小企業の場合は優良物件としてお客様におすすめしてくれるかもしれません。

そのため、不動産の売却を目的にした場合、一概に大手が安心だと言い切ることはできないのです。

空き家の売却には空き家バンクもおすすめ

空き家バンクは不動産会社とは異なり、自治体などから委託された団体によって運営されているマッチングシステムです。

空き家を所有している人と空き家を借りたい、買いたい、と思っている人をつなげる役割をしています。

空き家バンクのメリット

空き家バンクには、不動産会社の利用にはないメリットが売り手と買い手の双方にあるシステムです。

その地域の団体が行っていることが多いため、不動産会社と比べてもその地域の情報が豊富で新規住民に対しても親切です。

また、地域によっては活性化を図るために、空き家バンクを利用して家を見つけた方に補助金を出したりするなど、空き家を探す人を積極的に集めています。

空き家を探す人々へのサポートが手厚いところも多いため、その地域の空き家を求める人は空き家バンクを使うことも多くなってきているようです。

空き家バンクのデメリット

しかし、空き家バンクにもデメリットは存在します。

空き家バンクでは不動産会社を通さないことから、最終的には様々な手続きを自分たちで行わなければなりません

買い手と売り手で直接交渉することになるため、最後になって交渉が決裂することも少なくないようです。

自治体は基本的には買い手と売り手をマッチングさせる役割を果たすだけですので、トラブルが起こっても仲裁に入ったりすることができません。

そのため間に不動産会社に入ってもらった方が精神的に楽だと考える人も多いのですが、とりあえず空き家問題を早く解決するために登録だけでもしておくとよいかと思います。

業者に買い取ってもらう方法

全然売れない空き家問題を手っ取り早く解決する方法として挙げられるのが、不動産会社への売却です。

業者に買い取ってもらうメリットが高い物件

空き家にも様々なタイプがありますが、きれいな状態の物件であれば自分の力で売却することが可能なケースも多いです。

しかし、ボロボロになっていて見向きもされないような物件や、家の中に細々したアイテムがたくさんある住宅などは、そのまま買い取ってもらうのが楽だと思います。

家全体を高額な費用でリフォームしなければならない場合は、家主がそのためにお金を払うのも嫌でしょうし、例え購入額が安くても多額の費用がかかるとわかっている物件を買いたいと思う人は少ないはずです。

また、家の中のアイテムを片付けるのに費用がかかるため自分でやろうとしているが「自分でやる時間もないため結局空き家を放置し続けている」という物件も多いです。

実際に、売却前の様々な手続きがその空き家の売値と変わらなかったり売値よりも高くついてしまったりする可能性も出てきます。

それを考えると、現状のままで買い取ってもらった方が賢い選択といえるでしょう。

買取価格について

「持ち主の手に負えなくなった空き家」という認識になりますので、はっきり言うと買取価格はかなり安くなります。

中には、無料で引き取るという形になる物件もあるようです。

自分の所有物なのに無料で引き渡すのなんて嫌だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、現実を考えてみるとそれが賢明な判断と言えるのかもしれません。

自分の所有物だからこそ、毎年固定資産税がかかりますし、放置し続けられた空き家は将来的に固定資産税が高くなる可能性もあります。

空き家の固定資産税に関してはこちらの記事も「空き家の固定資産税を増やさないための方法とすぐにできる4つの対策」参考にしてみてください。

今後自分で空き家問題を解決するというのであれば話は別ですが、現状が変わらないようであれば例え安くても無料であっても、引き取ってもらった方が良い場合もあることは頭に入れておいてください。

空き家の活用を考えてみよう

空き家がずっと売れないと「どうしても必ず売ってやろう」と意気込む方向に走りがちです。

もちろん、その結果売れればよいのですが、売れない場合は逆にその空き家を使って何かをやってやろうと思うのも考え方の1つです。

空き家で地域貢献

例えば、その空き家を自治体やなどに利用してもらって、地域活性化に貢献するという方法があります。

もちろん立地によってはあまり使えないような空き家もあるかもしれませんが、放置されていた建物が誰かの役に立つというのは気持ちがいいものです。

ただ「自治体に利用してもらってもお金にならない」と思われる方も多いかもしれません。

確かに無償のほうが利用してもらいやすいですし、使用料を取るとしても微々たるものでしょう。

しかし、利用してもらうことできちんと管理してもらえるため、定期的に自分で清掃やメンテナンスをすることを考えるとかなりメリットが高いのではないでしょうか?

建物の劣化を最小限に抑えることができますし、空き家につきものの様々な問題が解消されるため一石二鳥です。

とりあえずは利用してもらい、自分で面倒を見ることができるようになったらその時考えればいいわけですから。

1つの選択肢としてはおすすめです。

空き家でビジネス

「空き家を使ってお金を稼ぐ」という方も増えてきています。

賃貸物件にして家賃収入を得るというのが一般的ですが、民泊やカフェなどのビジネス用にリフォームをして多くの人に使ってもらっているというパターンもあります。

そのビジネスに適した形にリフォームする必要があるため、最初にまとまったお金が必要になってきます。

また、本格的にビジネスをするのであれば、当然常にそこに人を置いておかなければなりません。

うまくいけば大きいですが、中には失敗してしまうこともあるためリスクも取らざるを得ません。

土地代がかからないというメリットはありますが、ビジネスを始めるのであればマーケティングをしっかりとしてからにしたほうが良いでしょう。

まとめ

所有している空き家の売却が思うように進まない問題は、無事に解決しそうでしょうか?

中には地理的に不利な空き家もありますが、売却できない原因は1つでないことが多いです。

そして、その売れない原因を一つずつ取り除いていくことができれば、売却への道は開けるはずです。

また、余裕があるのであれば空き家を活用してみるのもよいのではないかと思います。

こちらの記事では田舎の空き家ですが「田舎の空き家は活用次第でお得に!放置している空き家の問題の解決法」そんな空き家の活用法も紹介しています。

放置さえ避けることができれば、不動産を所有している以上何らかのメリットがあるはずですので、売却だけに目を向けずあらゆる可能性を考慮してみてください。