空き家を賃貸として貸すメリット・デメリットは?具体的な空き家の賃貸方法

全国的に問題となりつつある空き家ですが、例えば空き家の持ち主全員が高い意識を持ち、空き家の活用などについて考えることができれば、この問題はすぐに解決します。

しかし、そううまくいかないのが現状ですし、活用するにしても何かと様々な問題が発生することがあります。

一方で、空き家を空き家の状態のまま放置しておくと、さらに大きなリスクが発生するのもまた事実。

活用と聞くと、空き家を有効に使って複雑なビジネスをするというようなことを考える方もいますが、実は単純に空いている家を他人に貸すだけでも立派な活用です。

空き家の賃貸であれば、他の活用方法と比べてもハードルは低いですし、条件さえ整えば誰もが気軽にできる方法の1つです。

そこでここでは、そんな空き家を賃貸するメリットやデメリット、具体的な空き家の賃貸方法などについて紹介させていただきます。

空き家に関する基礎知識

空き家に関する基礎知識

そもそも、空き家というのはどのようなものを指すのでしょうか。

具体的な空き家の定義や、空き家を放置することで持ち主に生じるリスクをまずは紹介していきます。

空き家とは?

人が住んでいない家のことをまとめて空き家と呼びますが、それは国土交通省の定める「空き家」とは若干異なります。

国土交通省では、人が1年以上住んでいない、もしくは使われていない家のことを空き家としています。

具体的には、人の出入りがない家や電気やガスなどの人が住むには欠かせないインフラの使用状況などの利用実績を元に決められます。

また、放置し続けてこれ以上放置するのが不適切、または危険だとみなされる家は「特定空き家」となり、最悪のケースでは固定資産税が大幅に増額されてしまいます。

そのため厳密に言うと、ずっと住んでいないが毎週のように赴いて掃除などをしているような家は空き家とは定義されないので注意しましょう。

持っているだけで負債となる可能性もある空き家は、何かしらの手を打って活用を考えたほうが良いのかもしれません。

空き家を賃貸にすることで得られる6つのメリット

空き家を賃貸にすることで得られる6つのメリット

それでは、続いては今回の本題である、空き家の賃貸について。

まずは空き家を賃貸として他人に貸し出すことによって、どのようなメリットがあるのか紹介します。

主なメリットは下記の6つです。

家賃収入が得られる

空き家を賃貸として利用する最大のメリットは、安定した家賃収入を得られるというもの。

放置していた時には固定資産税や管理費などの経費がかかる一方でしたが、他人に貸すことによって家賃を得られるようになります。

もちろん空き家のある場所や大きさ、新しさなどによって、家賃がどれくらいになるのかはわかりません。

しかし、月に数万円から、ひょっとしたら10万円を超す固定収入を安定して得られるようになるので、生活がより豊かになります。

立地が悪かったりすると高い家賃で貸し出すのは難しいかもしれませんが、少なくとも固定資産税程度であればまかなえる収入を得られる可能性は高いです。

ただ無駄に空き家を遊ばせておくことを考えると、収入が得られるというのは大きなメリットです。

資産が残る

空き家を全く使わない場合は売却という方法で手放してしまう方法もあります。

関連記事:「空き家を上手に売却するための3つ方法と売却までの流れについて

売却してしまえば、空き家を管理する必要はなくなりますし、毎年のように支払っていた固定資産税もなくなるので負担が減ります。

しかし一方で、元々持っていた資産を減らすことになるため、中にはもったいないと考える方もいらっしゃるでしょう。

空き家の売却には大きなメリットがある一方で

  • 思い出の場所がなくなってしまう
  • 将来的に後悔する可能性がある

というようにデメリットも存在するのです。

一方で、賃貸として貸し出すことに成功すれば、空き家を有効に活用するだけではなく、その物件は個人の資産として手元に残ることになります。

他人に利用してもらって収入が増えるだけではなく、将来的に使いたくなった時にも使えるというのは大きなメリットです。

管理が不要になる

空き家は人が住んでいない状態の家ですが、放置し続けると様々な問題、リスクが発生します。

関連記事:「空き家問題は非常に危険!怖い原因と今すぐ取り組むべき解決策!

そのため、例え日常的に使わない住居であったとしても、定期的に訪れてきちんとした管理をする必要があります。

管理にも様々なものがありますが、

  • 定期的な清掃
  • 傷んだ場所の確認と修繕
  • 草むしり
  • 害虫駆除

などなど、やらなければならないことはたくさんあります。

例えば現在住んでいるところと対象となる空き家が非常に近いようなのであれば、頻繁に出向いて管理をすることも可能でしょう。

しかしその空き家が遠方にある場合は、毎回の交通費もバカになりませんし、かといって管理会社に頼むのにもお金がかかるので、あまりやりたくないですよね?

空き家を貸すことができれば、その借り手は自分の住んでいる家をきれいに保とうとするものなので、大家が管理をする必要がなくなります

見方によっては、管理をしてもらっているにもかかわらず、賃料まで手に入ると考えられるわけです。

管理する手間というのは意外に大きいので、例え家賃が安かったとしても人に住んでもらうだけでも賃貸する意味はありますよ。

建物自体の寿命が延びる

ある調査では人が住んでいない家は、人が住んでいる家と比べると寿命が短くなることがわかっています。

その大きな理由としては、風通しがなくなって湿気が溜まることによる住宅の腐朽が挙げられます。

人が住んでいる家は、少なくとも玄関の開け閉めによって住居内に風が入り込みますし、日常的に窓を開けたりすることも多いでしょう。

しかし人が住んでいないと家じゅうが常に締め切られていることになるので、風が全く発生せず、建物内はジメジメしてカビが発生しやすくなります。

じめじめした場所が大好きなシロアリに目をつけられ、ボロボロになってしまうケースも珍しくはありません。

ボロボロになってしまったら、ますます利用価値がなくなりますし、将来的に自分たちで住みたいとなっても大掛かりなリフォームが必要になってしまいます。

逆に言えば、だれかがその家を使っていればそのようなリスクは減少するので、自分たちで住まないのであれば誰かに住んでもらうのがベストなわけです。

賃貸として活用すれば、建物の寿命を延ばすだけではなく、固定収入を得ることもできるので一石二鳥になります。

防犯対策になる

人が住んでいない家は犯罪が発生しやすくなりますし、周辺の住民からも嫌な顔をされる可能性が高くなります。

空き家を放置し続けると、空き巣被害だけではなく、浮浪者やホームレスが住みつかれるようなことになったり、場合によっては放火されるリスクが発生します。

しかし他人に住んでもらうことによって、空き家にしておくことで発生しやすい犯罪の多くは防ぐことができるのです。

仮にどのような人であったとしても、きちんと契約を結んで他人に住んでもらうということは、その家や周辺の防犯対策にもつながりますよ。

社会貢献できる

上述した5つのメリットは、どちらかというと空き家の持ち主が個人的に得らえる大きなメリットです。

一方で、社会貢献というのは、なかなか個人で得をしたと実感がわきにくいものになるのかもしれませんが、長い目で見ると大きなメリットであることには変わりありません。

例えば、お持ちの空き家の周りにも空き家が多い場合、そのエリアにはあまり人が住んでいないということになります。

しかし、それらの空き家全てに借り手がつけば、一気にそのエリアの人口が増えることになるので、コンビニやスーパーといった施設が増えたりするかもしれません。

また、住む人が増えればそこの自治体に入ってくる住民税の額も増えることになるため、自治体が潤い街がますます活性化していきます。

街が活性化すれば、そこに住みたいと思う人も増えるかもしれないので、ひょっとしたら土地の価値が上がるかもしれませんし、そうなったら賃料も高くすることができます

将来的にその土地を売却しようと考えているのであれば、土地の価値が上がってから売却することで臨時収入の額も増えるのです。

もちろん一個人が持つ1つの空き家を貸し出せたからと言ってこのような現象は起こりませんが、全力で空き家問題に取り組んでいる地域であれば、そのようなこともあり得ます。

仮にそうはならなかったとしても、空き家を貸し出すことで空き家問題の解決に協力したことになるので、立派な社会貢献といえるでしょう。

MEMO

メリットまとめると

  • 家賃収入が得られる⇒固定資産税以上に金額になる可能性がある
  • 資産が残る⇒売却する選択肢が増える
  • 管理が不要になる⇒空き家問題の解決につながる
  • 建物自体の寿命が延びる⇒シロアリなどのリスクが減る
  • 防犯対策になる⇒近所の住民にも認知されてる
  • 社会貢献できる⇒土地に価格があるかもしれない

このようになります。

空き家を賃貸にすることで発生する2つのデメリット

上述したように空き家を貸し出すことによって、放置するよりもはるかに良いメリットを得ることができます。

しかし、他人に貸すということになるため、賃貸することでデメリットも発生します。

主なデメリットは下記の2つです。

リフォーム代がかかる可能性がある

賃貸に回す前の空き家が、きれいに保たれているのであれば、この部分はデメリットにならない可能性もあります。

しかし、空き家を長期間放置している場合は、建物のところどころが壊れていたり、どこかがボロボロになっていたりする可能性もでるでしょう。

例えば自分自身で住むのであれば、多少ボロボロであっても汚かったとしても、ある程度は我慢できるでしょうし特に問題はありません。

しかし他人に貸したいとなった場合、通常は人間が普通に生活をできる状態にしておかなければ、賃貸物件として扱われません。

建物内の汚れはもちろんのこと、壊れている部分は全て修繕してからでなければ、人に貸し出すことは難しいです。

もちろん、そのままの状態で借り手を探すことも可能ですが、普通に考えてボロボロの家に誰も住みたいと思わないので、入居希望者はなかなか現れません。

リフォームも全てやってもらう代わりに、タダ同然で貸し出す、というのであれば話は別ですが、それでも運が良くなければ借り手はつかないでしょう。

つまり、きちんと貸し出すためには、ある程度は安心して生活のできる住宅にするために、リフォームをしなければならないということです。

当然リフォームにはお金がかかってくるので、その後の月々の安定した収入を得るためには、初期投資が必要になってきます。

入居者とトラブルになる可能性がある

借り手を見つけたと思ったら、その人が家賃を払わなかったり、または騒音やゴミ出しなどの問題で周囲の住民に迷惑をかける人物であるリスクも考えられます。

契約の際には、お互いが良い顔をして何のトラブルもなく引き渡しが完了したとしても、契約後に非常識な人間だったとわかることもあるかもしれません。

空き家を賃貸として活用するのには大きなメリットがありますが、この入居人とのトラブルが発生してしまったら、そのメリットを上回るデメリットを感じることもあるでしょう。

実際に、なかなか空き家を賃貸として利用したくない理由の1つとして、この入居人とのトラブルが挙げられます。

このトラブルを避けるためにも、最初の契約前にきちんとコミュニケーションをとったうえで、本当に貸してもいいのかということをよく吟味することをおすすめします。

もしくは、賃貸契約からその後の管理などまでを、すべて不動産会社などの管理会社に任せてしまうというのも方法の1つです。

月々の管理費は必要になってきますが、面倒なトラブルなどを処理する必要がなくなるため、管理をするという面では非常に楽です。

ただ、大きなトラブルが発生した場合は、最終的な責任やトラブル解決には協力しないといけないのは覚えておきましょう。

MEMO

メリット比べるとデメリットは少ないのですが、トラブルに関しては嫌だという方も多いはずなのでもしトラブルが嫌なら管理会社に相談するのがおすすめですよ!

空き家を賃貸する方法

それでは、空き家はどのようにすればスムーズに賃貸にすることができるのでしょうか。

最後に、お持ちの空き家を賃貸物件として貸し出し、引き渡しをするまでの簡単な流れについて解説していきます。

不動産会社の選択をする

空き家を賃貸として活用するためには、様々な方法がありますが、不動産会社の査定を使いその物件の価値などを確認するのが一般的。

不動産会社の査定で不動産の価格を出してもらい、同時にいくらくらいで貸し出すことができるのかを相談するのが最も確実だからです。

その際には、できるだけ不動産の価値を高めるためにも、事前に物件をきれいにしておいたり、壊れている部分を直したりしておくとよいでしょう。

もちろん不動産会社に査定をしてもらった後にリフォームしたりするのも良いですが、どうせ修繕するということがわかっているのであれば先にやってしまった方が時間の短縮になります。

通常は複数の不動産会社に査定をしてもらい、最も相性の良いところ、もしくはきちんと借り手を探してくれそうなところと契約を結ぶことになります。

MEMO

不動産の査定は一括見積もりサイトを利用するのが便利です。複数の不動産会社から見積もりを取ることができるので時間短縮につながります。

不動産一括査定のメリット・デメリット。おすすめの査定サイト4選

貸し出す前の準備をする

不動産会社を選択したら、次はその不動産会社に協力してもらって入居者を募集することになりますが、募集するにあたって必要な資料を準備します

例えば、住所だけを書いた情報を元に入居者を探すこともできますが、写真や見取り図がなければ借り手もイメージがわかないため、入居者を探すのは難しいでしょう。

つまり、実際に入居者を募集する前に、不動産会社に借り手に見てもらいたい情報を提出する必要があるのです。

様々な資料がありますが、例えば

  • 物件の写真
  • 物件周辺の地図
  • 間取り図

などが代表的な資料になります。

それと同時に、

  • 登記簿謄本
  • 身分証
  • 物件の鍵
  • 印鑑

などもそろえておきましょう。

契約を結ぶ際や、実際に入居者が現れた時に、代わりに案内をしてもらう際などに必要になってきます。

また、この貸出前の準備には、実際に借り手と契約を結ぶ際に必要な条件の設定も含まれます

例えば、

  • 家賃
  • 敷金や礼金の有無
  • 更新料
  • 加入保険

などなど、単純に家賃だけではなく、事前に決めておかなければならない項目はたくさんあります。

必要書類や事前に決めておく条件は、利用する不動産会社によって異なるので、よく相談してじっくりと決めていきましょう。

入居者の募集

続いて、いよいよ入居者を探していきます

不動産会社のホームページや店頭の広告だけではなく、不動産ポータルサイトなどの様々な媒体を通して、しっかりと宣伝してもらいましょう。

もちろん実際に入居者を探したり、入居希望者が現れた際の案内などは、すべて不動産会社がやってくれます。

例えば入居希望者に自分で家を案内したいというような場合は別ですが、通常は大家が何かをやらなければならないというようなことはありません

事前に入居させたい人物の条件を決めておけば、それに合う条件の入居希望者が現れた際に、不動産会社の方から連絡をもらうことができます。

ただ、なかなか借り手がいないからと言って適当に決めてしまうと、上述したような入居者とのトラブルに発展するリスクがあります。

最終的な入居の決定は、こちらでできるので、不動産会社と相談して良く決めるようにしましょう。

契約と引き渡し

入居希望者と条件などを話し合い、双方が納得したら契約をして引き渡しとなります。

条件などは事前に決めていますが、入居希望者から値引きの交渉をはじめとする様々な条件が提示されることも珍しくはありません。

条件が合わなければ入居がなくなるということになりますが、相手の言い分もしっかりと聞いて対処できるところは対処することで、良い関係が築けます。

契約をしたら、引き渡し日にカギを渡して完了です。

空き家を賃貸して様々はリスクをなくそう

生まれ育った家が空き家となっているような場合は、賃貸として他人に貸すのに抵抗があるかもしれません。

また、今回紹介したようなデメリットを感じているため、なかなか活用する気になれないという方もいます。

しかし、すでに何年も放置し続けている空き家がある場合は、何らかの方法で早めに手を打たなければリスクが膨らんでいきます。

何より、賃貸として活用できればたくさんのメリットを得ることができるので、今後も住む予定がしばらくないのであれば、賃貸を検討してみましょう。